犬の耳が語る心:耳が後ろのときに読み取るべきサインとは!(The Heart of a Dog's Ears: What Signs to Read When the Ears are Back!)

犬の耳の構造と感情表現の基礎知識

その耳の動き、見逃していませんか?

「うちの子、なぜか耳を後ろに倒してる…怖いの?嬉しいの?」
犬の耳が“後ろ”に倒れる瞬間には、単なる気まぐれではない「感情のサイン」が詰まっています。今回は、犬が耳を後ろにする行動に焦点を当て、科学的な研究に基づいてその意味と読み取り方を詳しくご紹介します。

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犬の耳の構造と感情表現の基礎知識

犬の耳には18以上の筋肉があり、前後左右に自在に動かすことができます。この耳の動きは、DogFACS(犬表情行動分類法)によって「前耳」や「後ろ耳」など細かく分類されています。
特に後ろ耳は、犬がある種の感情状態にあるときに頻繁に見られる動作です。

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耳が後ろのときに表す6つの感情シグナル

① 恐怖・不安

耳をぺたんと頭に沿わせ、目が見開き、しっぽが下がっていれば「恐怖反応」。大きな音、知らない人、病院などで見られる典型です。

② 服従・和解

耳をやや後ろに倒し、身体を低くして目をそらす…これは「ケンカしたくないよ」という社会的サイン。犬同士や人に対して“穏便に済ませたい”という気持ちです。

③ 喜び・興奮

実は“うれしいとき”にも耳が後ろになることがあります。飼い主の帰宅や大好きなおもちゃで遊ぶ前に、しっぽをぶんぶん振りながら耳が伏せる状態、これは「ワクワクの表れ」です。

④ 聴覚集中

耳を後ろに倒しているように見えて、実は「音源を後ろで探している」だけのことも。耳は犬のレーダーであり、聴覚的な注意を示しています。

⑤ 痛み・体調不良

何となく元気がない・食欲がないなどと併せて耳が伏せている場合、身体的な不調のサインかもしれません。特に耳自体の疾患がある場合は注意です。

⑥ 緊張・葛藤(エアプレーンイヤー)

片耳が寝て、もう片方が立っているなど、アンバランスな耳の状態は「警戒しつつ様子見している」状態。これを「エアプレーンイヤー」と呼ぶこともあります。

ケーススタディで学ぶ耳の読み取り方

新しい場所で震え+耳が後ろ → 怖がりの可能性大
おもちゃを見ると耳が伏せ+しっぽふりふり → うれしさMAX
散歩中、耳が後ろ+周囲キョロキョロ → 環境の音を探索中

よくある誤解と注意点

「耳が後ろ=悲しい」は誤解!
喜びや集中でも同じ状態になることがあります。

垂れ耳犬も注意深く観察
耳の根元の動きや表情・ボディランゲージとの組み合わせで見極める必要があります。

愛犬家のための観察トレーニング術

1.日常生活を録画して、耳の動きだけに注目して見る
2.「おやつ」「雷」「来客」など異なる刺激に対してどう耳が反応するか観察
3.行動+耳+目+しっぽ+姿勢で“感情セット”を記録

耳は“心のレーダー”

犬の耳が後ろになる理由は1つではなく、状況全体的に読むことが大切です。
耳が語る心の声を見逃さないことで、愛犬との信頼関係がより一層深まります。
今日から「耳読み」観察を始めてみましょう!

参考論文

【1】- Caeiro, C. C., Burrows, A. M., Waller, B. M. (2019). "Development and application of DogFACS: Facial Action Coding System for dogs". Scientific Reports.
【2】- Siniscalchi, M., Lusito, R., Vallortigara, G., Quaranta, A. (2013). "Seeing left- or right-asymmetric tail wagging produces different emotional responses in dogs." Current Biology, 23(22), 2279–2282.
【3】- Racca, A. et al. (2012). "Reading faces: differential lateral gaze bias in processing canine and human facial expressions in dogs and 4-year-old children." PLoS ONE.
【4】- The Wildest. "Ears Held Back: What Does It Mean?" thewildest.com/dog-behavior/ears-held-back