犬の耳は「高感度レーダー」&「健康診断装置」だった!

1. 驚異の「耳筋」パワー!
人間には耳を動かす筋肉がほとんど残っていませんが、犬には18個以上もの筋肉が耳の周囲に集中しています。これにより、左右別々に動かしたり、180度回転させたりすることが可能です。
最新の行動学的研究では、犬が耳をどちらの方向に、どの角度で傾けるかによって、「右脳と左脳のどちらで感情を処理しているか」まで分かると言われています。例えば、飼い主さんの声を聞いて耳を右側に傾けるときは「安心感やポジティブな感情」を、聞き慣れない不穏な音に左側を向けるときは「警戒心」を抱いている可能性が高いのです。
2. 耳は「体内の火災報知器」
「なんだか今日、耳が熱いな?」と感じたら、それは単なる興奮だけではないかもしれません。
犬の耳は皮膚が薄く、血管が密集しているため、体内の炎症や発熱がいち早く現れる場所です。
科学的な視点で見ると、耳の内部(外耳道)の温度上昇は、全身の免疫システムが戦っているサイン。特にアレルギー反応が出ている犬の場合、腸内環境の乱れが「耳の赤み」や「独特の匂い」として真っ先に表出することが、近年の獣医学研究で明らかになっています。
3. 「耳の匂い」で微生物の勢力図がわかる?
健康な犬の耳は、実はほとんど無臭か、あっても「お日様の匂い」のようなかすかなものです。
しかし、ひとたびバランスが崩れると、耳の中は「微生物のバトルフィールド」に変貌します。
- 甘酸っぱい・イーストのような匂い: マラセチア(酵母菌)の増殖。
- ツンとする不快な匂い: 細菌感染の疑い。
研究によれば、健康な犬の耳にも常在菌は存在しますが、免疫力が低下したり食生活が合わなかったりすると、特定の菌だけが爆発的に増え、あの独特の「異臭」を放ち始めるのです。
犬の耳トラブル早見表
これを見れば、病院へ行くべきかどうかが一目でわかります!
| 状態 | 見た目・匂い | 疑われるトラブル | 緊急度 |
| 正常 | 薄いピンク色、無臭、さらさら | 健康そのもの! | - |
| 赤みが強い | 熱を持っている、ピンクを通り越して赤い | 外耳炎・アレルギー | 中 |
| 黒い耳垢 | コーヒーの粉のようなポロポロしたカス | 耳ダニ(耳疥癬) | 高 |
| 黄色〜茶色の耳垢 | ネットリしていて、酸っぱい匂い | マラセチア感染 | 中 |
| 頭を激しく振る | 耳を触ると痛がる、または鳴く | 中耳炎・異物混入 | 最高 |
いかがでしたか?そっと耳の中を覗いてみてください。
参考文献
1.Left-right asymmetries in the ear movements of dogs,Siniscalchi et al. (2018),[10.1016/j.cortex.2018.03.001]
2. Characterization of the bacterial and fungal microbiome in ears of healthy dogs,Meason-Smith et al. (2015),10.1111/vde.12253
3. Prevalence and risk factors for otitis externa in dogs,O’Neill et al. (2021),10.1038/s41598-021-00001-z
4. Anatomy and physiology of the canine ear,Strain, G. M. (2011),Veterinary Clinics: Small Animal Practice
5. Dog ear posture as an indicator of internal state,S. Reeve et al. (2020),Applied Animal Behaviour Science


